残念ながら、僕の答えはちょっと違います。
現時点での僕の判断基準はシンプルで、「その首長連合が衆議院選挙で特定政党への支持を明確にするのか否か」がポイントです。特定政党への支持を表明する団体なら不参加(×)、そうでないなら参加(○)。
首長(知事・市町村長)が集まって強い発言力を確保するという動きは○です。でも、橋下知事の強く主張する「衆議院選挙において特定政党への支持を表明する」という点については、僕は“絶対に”すべきでないと考えています。

すでに全国知事会、全国市長会、全国町村長会など、“首長が集まり地方の視点からモノを言う”という団体は存在し、たしかに一定の主張・行動はしていますが、これらは全員参加の集まりなので、どうしても思い切った活動や発言までできているとは言いがたい。同じテーマでも地域の事情によってスタンスはいろいろですからね。
一方、これらの団体を除くと、ほとんどの首長は単独で行動し、単独で発言するので、(各地域“内”での発言力は強いけれど)国レベルで言えばそれぞれの発言力など微々たるもの。
だから、志を同じくする首長(だけ)で集まって、束になって同じ方向性の強い発言力を確保する(国政に強く働きかける)というのは、これまでの首長の動きにはないフィールド。当然のことながら、主張の根幹は“地方分権”または“地方主権”で一致すると思います。首長の仕事は“地方自治”ですから。
そこまではよいのです。
でも、国政(衆議院選挙)で特定政党を支持するというのはおかしい。僕たち首長は、住民の方々からその地域のことを信任していただいていますが、外交や防衛、金融政策など国全体の舵取りを任せると認められたわけではありません。
国全体の舵取りについての選択は、選択の機会である国政選挙で、住民の方それぞれが判断して決めるべきこと。もちろん、信念をもって、自己責任を覚悟して決めていただきたい・・・誤った選択は、結局、住民自身に跳ね返ることを自覚した上で。
その意思決定の場に(地域のことのみを信任された)首長が強い影響力を行使すべきではない。僕はそう思います。
もちろん、「首長がどこかの政党を支持したって、それに従うかどうかは個々人の判断だよ」と言う方も多いとは思いますが、都道府県知事・市町村長は、各地域でメディアやイベントへの露出が多く、少なからず一定の信頼や親しみを得ている事実を考えれば、その首長たちが一斉に揃って同じ主張をすれば、国民全体の投票行動に何がしかの影響力を持ちうることは想像に難くありません。
さらに、全市民を代表し、住民と公平に接するべき行政の“最前線”を担う市町村長は、特定の考え方に偏るスタンスで行動すべきでないというのも強い理由の一つ。この考え方は、新潟県三条市の国定市長も書いていますが、そちらと同感。
僕は、国の役割、地方の役割、それぞれ別々のモノがあると思ってます。その上で、忌憚なくケンカしあうのが真っ当。それぞれ別々の役割があるから、テーマによっては国と地方が意見一致するし、テーマによっては国と地方が対立する。そういう関係だと思ってます。
どちらかがどちらかに優位すべきというものではありません。そのどちらの代表を選ぶのも、住民の皆さんの毎回のフラットな選挙による選択であるべきです。だから、地方(首長連合)が国政(衆議院選挙)で特定政党を支持するということは、絶対にすべきでない。
国の代表がどんな政党になろうと、僕たち首長は地方として言うべきことを言う。実現すべきことを主張する。そのための首長連合ならば、大いに賛同します。
新聞報道もされていますが7月1日に橋下知事が大阪府内の市町村長に想いを伝えるという会合をもちます。僕は出席しますが、その時点での橋下知事のコダワリがどこにあるのか、実際にはその話を聞いて判断することになると思っています。
・・・が、まあ、繰り返しになりますけれども、僕の判断基準はシンプル。「その首長連合が衆議院選挙で特定政党への支持を明確にするのか否か」です。明確にする団体なら不参加(×)、そうでないなら参加(○)。
首長(知事・市町村長)が集まって強い発言力を確保するという動き自体は、すごく有益なフィールドだと思うので、橋下知事が政党支持の表明だけにこだわって突っ走りすぎないことを期待しているのですが・・・。