新聞報道だけを見てしまうと、おそらく箕面市民はもちろん、北大阪の多くの方々は「なんで伊丹廃港の決議なんてするのか?」というのが第一印象ではないかな、と思います。
市長と市議会はいわば“別のイキモノ”なので、今回の件、実は僕は外から眺めている感じ。ただ、すぐ近くで見聞きしてる立場として、今回の箕面市議会の主張の本質はそこ(伊丹廃港)ではないと受け止めているので、そのあたりのことを少しだけ。
今回の決議に至るキッカケは、もちろん橋下知事と箕面市議会の意見交換会(2月22日)でした。傍聴に来られた方は印象に残ってるだろうと思いますが、橋下知事は、関西圏・大阪圏広域の再生のための空港問題であることを激しく主張し、箕面市議会にも決意を示してほしいと強く要請。
橋下知事が「北大阪急行線の延伸」と「空港問題」の関係を示唆したことが、箕面市議会の悩みを増やしたのも事実だとは思います。・・・ただ、この件については、僕も「“関西3空港問題”と“北大阪急行の延伸”と?」で書いたとおりなので、あくまで附随するサブテーマにすぎません(だから決議文にも載ってません)。
意見交換会には僕も同席していましたが、結局、本質的な問いかけは「空港とはなんなのか?」「単なる便利な交通手段にすぎないのか?」「都市の経済機能を形づくる重要な構成要素ではないのか?」ということだったのだろうと思います。

そんななか、3月11日に報じられた茨城空港の開港ニュースも背中を押す要因になったのではないかと思います。国内98番目の空港、それも首都圏の空港にして、開港時に国内定期便が1便も飛ばない空港が誕生するという異常事態。
結局、箕面市議会の1ヶ月にわたる実直な悩みの末、最終的に決議に至った文章。こちらに掲載されていますので、一度目を通していただければと思います。
僕なりに受け止めた最大のポイントは、「現在、大阪国際空港(伊丹空港)の廃港が選択肢の一つとして語られていることは、多くの箕面市民にとって遺憾である。」とストレートに地域の気持ちを伝えながらも、「都市経済政策としての空港問題を決するにあたっては、箕面市単独の利便性を主張し続けるよりも、関西圏・大阪圏全体が浮上し、結果として箕面市も大きな恩恵を受けるという将来像を目指すことこそが、箕面市議会の将来世代に対する政治責任であると自覚する」と地域エゴからの脱却を表明している点。
「国の航空行政の失敗の要因は、それを求め続けた地方のエゴにある。」・・・よく言われる論調ですが、ならばその地域エゴを捨てよう。捨てるから、改めてちゃんとこの国のこと全体を考えてくれ。
つまりは現在の異常事態を招いた国の航空行政への問題提起。それが、今回の箕面市議会の決議の本質だったと僕は理解しています。
今日の議会審議は(想像どおり)かなり激しいものになりました。印象的だったのは、かつて伊丹空港反対の旗をふっていた共産党が「伊丹空港存続」を強く主張したこと。それと、決議には反対した他の(共産党以外の)議員が、議会の調整手続への不満を主張していたものの、伊丹空港存続とは主張しなかったこと。これは少し意外でしたが、地域エゴを捨てるというのは正論なので、ホントに答えに悩んでるんだぁ・・・とも感じました。やはりこの問題、複雑でわかりにくくてムズかしいです。
ちなみに、僕は従来から関空・伊丹の経営一体化論者で、それは変わっていませんが、選択肢があるならいくらでも真剣に議論してみるべきとの立場。池田市長も同様に「座して死を待つくらいなら、廃港リスクと引き換えに活性化という議論は否定しない」とのスタンス。
箕面市にも池田市にも「廃港」「存続」の決定権はまったくありません。もっと言えば、実は、大阪府にも知事にもなんの決定権もありません。ただ、国に対して真摯に議論を求めていくこと、結果はどうあれ、その努力をするのはバチが当たるものではないと信じます。
国にしてみたらちっぽけな箕面市議会のメッセージ、吹けば飛ぶようなものかもしれません。それでも実直にメッセージを発した覚悟が、一つの問題提起として受け止められんことを。
