「(A)市民の意向はどうか?」の感触はある程度つかんだとして、
前述の3つの判断要素のうちのもう一つ
「(B)箕面のまちへのメリットは?」はどうか。・・・これは「駅ができるだけ」という次元ではなく、考えてみればみるほど実はかなり出てきます。
なお、北急延伸のメリットや、延伸後にイメージする街の姿は、
今回の施政方針の後半(終わりの方)にかなり書き綴りました・・・なので、ブログでは少しサボって概略だけにとどめます。また時間のあるときにでも、ぜひ
平成22年度施政方針の方もご参照ください。
・・・というわけで、概略ですが、箕面のまちへのメリットはどうか。
誰が考えても思いつくのは、新駅周辺のアクセス性や地域の価値向上。・・・これはいうまでもありませんが、都心部への強力なアクセス性という鉄道のメリットは駅周辺にとどまらず、箕面市全域において住宅都市の価値を大きく高めることは間違いありません。
また、直接的な交通利便性という観点でいうならば、僕が大きいと感じるのは、新駅に引きずられて市内バス交通網がガラッと再編されること。なぜならバス網の起点は駅だから。
大阪のなかでも箕面の中部・東部は公共交通網の希薄な地域・・・この課題の抜本解消も、駅周辺のみならず箕面市全域の利便性と「住宅都市としての価値」を広範囲に底上げする大きな要因になることは確実です。
ただし、僕は、「鉄道が来たらどうなるか?」もさることながら、
「鉄道が来るのにあわせてどうするか?どういう街を描くか?」が、鉄道延伸のメリットを活かせるか否かの重要な分かれ目になるとも考えています。
例えば、「(仮)新箕面駅」のオープンは、放っておけば間違いなく、両サイドに広がる農地・緑地をビル・建物群に替えてしまうだけ。でも、
そんな大阪市内と同じ景色なら、箕面である意味がないと、僕は感じてしまいます。そうじゃなくて、僕は、
都心部への強力なアクセス性と、北部の山・東西の田園風景を維持・共存させたい!・・・それでこそ、箕面の稀少価値を高め、市外からも羨ましがられる象徴的なエリアになると思います。
また、「(仮)箕面船場駅」についても、「特別業務地区」に指定されている地域特性ゆえに、ビジネス面での潜在力は(むしろ「(仮)新箕面駅」より遥かに)大きい・・・でも、それも従来の物流に特化したビジネス形態&まちの特性から脱却できるか否か次第。次の姿をいかに描くかにかかっています。
・・・この新駅2つの周辺の話は、また別に書くつもりなので、今日はここまでの概略で。
加えて、これは施政方針には書かなかったんですが、意外に意識にない人もいるようなので念のため。・・・延伸しようという鉄道は、
そんじょそこらの路線ではないということも忘れてはならない要素です。
箕面市が延伸しようとしているのは、大阪初の地下鉄、かつ、日本初の公営地下鉄として開業し、日本の地下鉄で最も利用者が多い区間を擁する大阪都心部の大動脈「地下鉄御堂筋線」です。ちなみに、この路線、公営地下鉄として全国で最も黒字をたたき出し、大阪市営地下鉄の収益の4割以上を占めるというバケモノ路線。
このスーパー路線へのダイレクトアクセスを箕面が得るメリットは、価値としても利便性としても地域全域にとって計り知れません。
北大阪急行線の延伸は、ニーズのない田舎に、ただ鉄道を強引に引っぱるような、無茶な計画ではありません。
それなりの価値をもった地域に、パワーのある力強い鉄道路線をアクセスさせて、両者をかけあわせるプロジェクト・・・北急延伸は、そんな極めて前向きで有意義な計画だと僕は捉えています。
さて、ここまでの経過から、僕のなかでは、前述した3つの判断要素のうち2つ
「(A)市民の意向」「(B)箕面へのメリット」については、マニフェストをもって市長選挙に臨んだ頃までに、ある程度の感触をもつことができていました。
残るポイントは
「(C)箕面市が財政的に耐えうるか?」です。この点を僕のなかで納得できるまでには、実は、市長就任後なお1年以上を要したのでした。
(
北急延伸その4“財政的に耐えうるのか?”に・・・つづく)
【シリーズ:北大阪急行の延伸】・2010.04.02
北大阪急行の延伸(その1)〜なぜ突き進めるのか?・2010.04.05
北大阪急行の延伸(その2)〜市民の意向はどうなのか?・2010.04.08
北大阪急行の延伸(その3)〜鉄道延伸のメリットは?・2010.04.12
北大阪急行の延伸(その4)〜財政的に耐えうるのか?・2010.04.20
北大阪急行の延伸(その5)〜知れば知るほど賛同してくれると信じて・2010.04.27
北大阪急行の延伸(その6)〜行財政改革と北急延伸は両立する?・2010.05.11
北大阪急行の延伸(その7)〜歴代市長が繋ぐリレーのバトン(上)・2010.05.18
北大阪急行の延伸(その8)〜歴代市長が繋ぐリレーのバトン(下)・2010.06.23
北大阪急行の延伸(その9)〜市長に就任してから(上)・2010.07.01
北大阪急行の延伸(その10)〜市長に就任してから(下)・2013.12.19
北大阪急行の延伸〜先行してちょっとだけ中間報告・2014.02.12
北大阪急行線の延伸〜2020年度の開業にむけて・2014.03.31
決着〜北大阪急行線の延伸の事業化合意
posted by 倉田哲郎 at 09:41
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