前回の記事のとおり職員チーム獅子奮迅の検討結果「箕面市図書館8館構想(たたき台)」を公表したのが2011年3月。・・・もめました。
これ以降、半年間ほど、ほぼ毎月のタウンミーティング(市長ほっとミーティング)には、毎回必ず「図書館を増やすのはいいけれど、運営見直しには反対」と主張される複数の方々が来られてました。
図書館長の諮問機関「図書館協議会」からは同趣旨の意見書も出てきました。3月・4月に行われた図書館協議会は大もめ。さらに、市役所の担当部にもいろんな方が意見を言いに来られたみたいです。
それと、市議会議員にもいろんな方から少なからずアプローチがあったようです。2011年6月の市議会では、批判的・懐疑的な主張を繰り返す議員もいました(・・・といっても対案は示されないのですが)。
・・・でも、たたかれてなんぼ。だって「たたき台」ですから。
例えば、タウンミーティング(市長ほっとミーティング)で反対意見を発言していただくことは、「いや、そうじゃなくて、ちゃんと議論を始めるってことですよ。課題はこうでこうで・・・」と説明できる機会にもなりました。これは結果として、もともと図書館の見直しの動きをご存じない他の出席者の方々にも話を聞いていただき、反応をいただける貴重な機会でもありました。(タウンミーティングはテーマ制限なしなので、いろんな方が来られます。)
「もめる」というのは、互いに意見をぶつけあうということ。良いものを作り上げていくためには、馴れ合いの議論でなく、ガチンコ勝負もときに必要。その真剣勝負も「協働」といえるプロセスだと僕は思います。
ここでちゃんともめといた(?)のは、その後の検討作業にも役立ちましたし、そのなかから(次のステップに活かせる)たくさんの検討材料もいただけたので、僕はよかったと感じています。
さて、その頃の僕にとって(たぶん職員チームにとっても)「箕面市図書館8館構想(たたき台)」の最大の課題は、あくまで「仮説」に基づいた検討案で、そのまま実務レベルに適用できるのか?という点でした。
したがって、次の第2ステップ・・・すなわち「たたき台」レベルを脱して、実際に動かせるプランをつくっていく検討・検証作業がどうしても必要だったわけですが、これは教育委員会が真正面から受けとめてくれました。(図書館は教育委員会の所管です。)
・・・そして、この第2ステップで、ついに図書館にエンジンがかかりました。
教育委員会事務局に新設された「知の地域づくり担当」を中心に、改めて図書館の職員が実際に自分たちの仕事の洗い出しをし、業務の再構築に臨みました。
実際に動かせるプランができるならば、「箕面市図書館8館構想(たたき台)」と違う形になってもいいし、踏襲する部分があってもいいし、他市の事例などが取り入れられてもいい。「箕面市図書館8館構想(たたき台)」を参照しつつも、必要なのは、頭をリセットして改めてゼロからのプランを作ること。いずれにせよ、かなりハードな作業プロセスだったと思います。
新たな検討案は数ヶ月かけてようやくまとめられました。
まとまってきた案の説明を受けたときのこと。僕の「このプランで本当にいけますか?」という問いかけに対して、すかさず図書館の職員が「はい、いけます。」と力強く頷いたシーンは、今でも強く印象に残っています。・・・これなら大丈夫。そう確信して、一言「これでいきましょう」と応えることができました。
こうして2011年8月に練り上がったのが「箕面市・知の拠点づくりアクションプラン」。
職員が実務レベルで検討を重ね、教育委員会で繰り返し議論いただきました。また、市議会からも他市の視察で得た参考事例などアドバイスもいただき、ようやく仕上がったプランです。小野原に図書館を増設し、書籍購入費も2倍に拡張し、利用者も簡素な手続で貸出・予約することができて、なおかつ、図書館全体の運営経費を年間4000万円圧縮する。新システムを導入しながら業務フローを大きく見直し、市直営を堅持しつつも運営のスリム化・大切なことへの重点化を果たす。
そんな「箕面市・知の拠点づくりアクションプラン」は、関係者の汗と知恵がつまったプランになりました。お時間があれば、僕の説明なんかより、ぜひ直接ご一読いただきたいと思います。
「箕面市・知の拠点づくりアクションプラン」は、8月22日の箕面市教育委員会議で正式決定されました。翌23日の箕面市政策決定会議を経て、市としての補正予算案の編成に着手し、ようやくこの9月の箕面市議会に提出することができました。
補正予算案の内容は、図書館全体の新たな環境整備費の第一弾(貸出システム・Blu-ray・無線LANなど)や小野原の図書館新設の費用です。そして、無事、10月11日の箕面市議会本会議にて議決をいただきました。この議決により、晴れて小野原の図書館新設を確定することができました。
・・・一部に「図書館の新設は評価するが、補正予算には反対」という、わけのわからない議員がいて、全会一致にならなかったのは残念でしたが、それでも、結果がちゃんと形になってよかったです。
もちろん、プランも予算も実行に移していく「これから」がむしろ大事。絵に描いたモチには終わらせません。
早速、小野原の施設プランの再検討を進めていますし、地域の方々との調整もギリギリまで続けています。また、図書館全体としても、「箕面市・知の拠点づくりアクションプラン」を来年4月から具体化していくための体制を整え、忙しく準備に入っています。
来年4月からは、全図書館で貸出・返却や予約がより簡単・便利になります。インターネットユーザにはこんなツールも開発されたりしているので、組み合わせたら便利さ倍増かも。
そして、平成25年5月、小野原西には図書館を併設した「多文化交流センター」がオープンします。・・・利用されてこその図書館。ぜひとも全市域で積極的にご活用ください。
以上が現在までの経過です。「小野原に図書館ができるまで」を5回にわたり長々と書いてきました。最後までおつきあいいただき読んでくださった方には心から感謝です。
・・・が、せっかくなので最後に番外編でちょっとだけ僕の小さな夢を。
(まだ「夢」であって公約とかじゃないです(笑)。)
今回のプランが具現化するのは、箕面市内の図書館全館が効率的・有機的に稼動する、いわば「図書館インフラ」です。これは、市民の財産である「蔵書」を箕面市全域で管理し、予約やニーズに応じて配本しあうサービスインフラの一種です。そして、この仕組みに支えられて、前線で司書(職員)やボランティアの方々がコミュニケーションしながら活躍し、また、子どもの居場所、高齢者の居場所としても地域の図書館が活用されていくものです。
せっかく整備し、これからも維持し続ける仕組みですから、いかにたくさんの人に使ってもらえるかが大事。それこそ税を投入する意義です。
そして、図書館の利活用方法は、利用者によって違ってていいと僕は思います。・・・というより、ライフスタイルによって違うのは当然。
ここからが僕の小さな「夢」ですが、今回作り上げるサービスインフラ(蔵書量・配本システム)があれば、もう少しの工夫と現実的なコストで、無人のサービスポイントを拡張していくことも可能なんじゃないかなと思うのです。
箕面市には、市外に通勤する人口が多く、(休日を除き)図書館の開館時間には箕面市にいない方々がたくさんいます。そんな市民にとっても、例えば、鉄道延伸後のvisolaなど、いくつかのサービスポイントで、出勤時やインターネットから予約して、仕事の帰りがけに本の受取・返却ができるような仕組み。そんなものがあってもいいんじゃないかなぁと。
まあ、コストもシステムもなーんにも検討していない、まだ小さな夢ですが、たぶんこのくらいのことは世の中のどこかにはすでにありそうな気がしますし、今回の図書館運営の見直しがうまく進んでいったら、またいつか考えてみたい世界だったりするのです。(本屋さんには怒られるかもしれませんが。)
・・・市民の財産を、より多くの市民が、公平かつ最大限に活用していけますように。
- 最近の記事
-
07/01 引退表明07/21 箕面市長選挙にむけて(その2)07/21 箕面市長選挙にむけて(その1)03/25 箕面市の新年度(H28)予算03/11 東日本大震災から5年01/03 消防出初式201608/02 消防訓練大会〜消防団・上止々呂美分団の勇姿07/26 箕面まつり201502/25 箕面市の新年度(H27)予算案02/05 ニュージーランド・ハット市を訪問01/12 華やかに成人祭201501/03 消防出初式201508/31 箕面大瀧〜8年前の風評被害07/28 箕面まつり&キャンドルロード201406/25 箕面市役所の公務員制度改革03/31 決着〜北大阪急行線の延伸の事業化合意03/27 箕面市の新年度(H26)予算02/12 北大阪急行線の延伸〜2020年度の開業にむけて
- 過去ログ
-
2020年07月(1)
2016年07月(2)
2016年03月(2)
2016年01月(1)
2015年08月(1)
2015年07月(1)
2015年02月(3)
2015年01月(2)
2014年08月(1)
2014年07月(1)
2014年06月(2)
2014年03月(2)
2014年02月(1)
2014年01月(1)
2013年12月(3)
2013年08月(1)
2013年06月(1)
2013年03月(1)
2013年02月(1)
2013年01月(2)
2012年12月(1)
2012年10月(2)
2012年09月(2)
2012年08月(3)
2012年07月(1)
2012年06月(1)
2012年03月(1)
2012年01月(1)
2011年12月(2)
2011年11月(1)
2011年10月(4)
2011年09月(5)
2011年08月(1)
2011年03月(1)
2011年01月(1)
2010年12月(1)
2010年11月(1)
2010年10月(4)
2010年09月(2)
2010年08月(4)
2010年07月(2)
2010年06月(3)
2010年05月(4)
2010年04月(7)
2010年03月(4)
2010年02月(5)
2010年01月(6)
2009年12月(7)
2009年11月(9)
2009年10月(12)
2009年09月(9)
2009年08月(12)
2009年07月(13)
2009年06月(12)
2009年05月(11)
2009年04月(9)
2009年03月(10)
2009年02月(6)
2009年01月(8)
2008年12月(9)
2008年11月(10)
2008年10月(14)
2008年09月(15)
2008年08月(9)
2008年07月(5)
2008年06月(5)
2008年05月(9)
2008年04月(13)
2008年03月(6)
2011年10月27日
小野原に図書館ができるまで(5)最終回
posted by 倉田哲郎 at 21:58
| TrackBack(0)
| 活動日誌
2011年10月18日
ご報告
本日、箕面市議会の閉会挨拶の場をお借りして、来夏以降も続投すべくチャレンジすることを表明し、決意をご報告させていただきました。
少し早めの表明ではありますが、気持ちが揺らいだり変わったりすることは“ありえない”ですし、新年度の予算編成作業にちゃんと入っていく必要があるため、早々のご報告です。
最近、自分が昔に書いたブログ、立候補前の頃からのブログ(このブログの2008年頃の記事)を何気なく読み返す時間がありました。少し懐かしみながらも、自分のなかで軸がブレてないなぁ(ほとんど変わってないなぁ)というのを再確認する機会にもなりました。
今の任期の満了まではまだ10ヶ月あります。この期間も、スタンス変わらず完全燃焼でがんばりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします!
少し早めの表明ではありますが、気持ちが揺らいだり変わったりすることは“ありえない”ですし、新年度の予算編成作業にちゃんと入っていく必要があるため、早々のご報告です。
最近、自分が昔に書いたブログ、立候補前の頃からのブログ(このブログの2008年頃の記事)を何気なく読み返す時間がありました。少し懐かしみながらも、自分のなかで軸がブレてないなぁ(ほとんど変わってないなぁ)というのを再確認する機会にもなりました。
今の任期の満了まではまだ10ヶ月あります。この期間も、スタンス変わらず完全燃焼でがんばりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします!
posted by 倉田哲郎 at 23:50
| TrackBack(0)
| 活動日誌
2011年10月12日
小野原に図書館ができるまで(4)
前回までの経過のとおり、小野原の公共施設に端を発したテーマの焦点は「図書館全体の運営の見直し」へと移行していきました。これまで手をつけることができていなかった箕面市全体の図書館運営の見直しが可能なのか?果たしてどれだけの効果が捻出できるのか?・・・これらがポイントです。
そして、10年以上にわたり図書館運営の見直しを阻んできた要因は「(1)図書館に手をつけると痛い目にあいそう」「(2)図書館業務のブラックボックス化」の2点。
(1)の解決はシンプルです。僕が覚悟を決めて腹をくくって、ブレないこと。
したがって、ここからは(2)が主戦場。この先は本当に職員“大活躍”の領域でした。
どんな議論をするにせよ、口でああだこうだ論評してるだけでは前に進みません。現実を前に進めるためには、なにか具体的な“たたき台”や“モデル”を提示しなければ始まらない。
小野原の公共施設が「ヤマにあがった」2010年10月。改めて、僕は何人かの職員と一緒に全図書館をウロウロ歩きまわったうえで「こうしたらいいんじゃないの?」という仮説を立てて、ひとまず職員チームに“たたき台”をつくるよう検討指示をしました。
発想のスタートは、箕面市の図書館のいくつかは比較的“小ぶり”であるということ。例えば、都心部の「中央図書館」と呼ばれるような大きな施設の運営と、同じ運営(業務の分担や人員配置)を、仮に規模の大小にかかわらずやっているとしたら、小さい図書館であればあるほど非効率になる(=業務は少なくても人員を配置しなければならないから)のは当然。・・・箕面市の図書館運営が過去にほとんど見直されたことがないことを考えると、このあたりは怪しいんじゃないか?というのが一つの仮説。
また、同様の発想からくるのですが、箕面市の特徴である「図書館の数の多さ」を考えると、「どこでやってもいい仕事をそれぞれバラバラにこなしてないか?」「集約化できるものがあるのではないか?」というのも一つの仮説。
ざっくり言えば、箕面市の図書館は「それぞれ独立・完結してて、バラバラに動いているんじゃないか?」「全体で一つの図書館として、互いに仕事を融通しあいながら動いた方が効率的・効果的なのでは?」という仮説を立てて、職員チームは検討に入りました。
ここからの職員チームは本当に獅子奮迅でした。
一部は図書館の職員も参加してましたが、大半は図書館経験のない職員が多かったので、まずは図書館業務の解明からはじめなきゃいけません。なかには、休日にストップウォッチを持って図書館を見に行き、丸一日、カウンターや人の動きを計測しながら業務量を紐解いていったりしてくれた職員も。
・・・こうした動きには、過去の箕面市の事務改善活動の経験が活きています。例えば、箕面市では過去にコクヨビジネスサービス(株)の協力を得て、分単位で業務を計測・解析して再構築する見直し作業もしたことがあるのですが、そうした積み上げ手法などの経験が、今回の図書館運営の見直しの随所に活かされました。
それと、「図書館運営の見直し」は、決して削減だけの話ではありません。
今の時代にそぐわない非効率な部分を改め、そこから捻出されるリソースを強化すべき部分に投入する。これこそ「見直し」です。・・・その一つが(できれば)図書館の新設でもあるわけですが、他にももっともっとあります。
例えば、職員チームの検討作業のなかででてきた話。箕面市の図書館全体の予算(3.9億円)を見渡してみると、その約70%(2.7億円)が人件費なのに対して、実は、書籍の購入に充てられている費用は7%余り(0.3億円)に過ぎないのです。図書館の議論をすると必ず「人(司書)」が大切という声があがります。それを否定する気はありませんが、図書館である以上、それよりなによりまずは「本」だと(僕も)思います。
業務の効率化によって財源が捻出されるなら、むしろ今は絞られている「本」に財源を投入すべきでは?・・・職員チームの検討作業からは「毎年の書籍購入費を2倍に」という提案が出てきました。この他にも、「インターネット接続環境の整備」として「公衆無線LANの整備」「iPad・ネットブックなどの館内貸出」といった項目もあがってきました。
もちろん逼迫する箕面市財政に貢献してもらうことは必要ですが、すべての削減努力を図書館から召し上げるのは本意ではありません。まさしく今の時代にあった「図書館運営の見直し」を進めてくれた職員チームでした。
その検討結果が「箕面市図書館8館構想(たたき台)」。
まとまったのは2011年3月のことでした。ちなみに、検討を開始した2010年10月から、ひとまずの検討結果「箕面市図書館8館構想(たたき台)」がまとまる2011年3月までの間。この期間は・・・なんというか、正直、歯がゆかったです。
例えば、この検討結果(8館構想)がまとまる前の2010年12月の箕面市議会(文教常任委員会)。
単に「小野原が図書館を求めてるんだから図書館を増やせ」という安直な主張を繰り返す(一部の)議員がいましたが、ある程度の見通しをつかめない状態では無責任なことは言えないので、こちらとしては「“今のままの図書館運営を前提にするなら”増設は不可能」「悩んでます」くらいの答えが限界。
そうすると、(当たり前ですけど)なんか後ろ向きな姿勢に受け取られて、余計に「市長はわかってない」とかなるわけです。・・・いや、わかってないのはあんたの方だ。議員なんだから、「今のままじゃ無理」=「今のままじゃなければ可能性がある」って言葉のウラくらい読み取れよ!・・・などと口にできるわけもなく。
前回・前々回も書いてきたとおり、かなりの覚悟&決意で実現可能性を探ってたわけですから、なおさら歯がゆくフラストレーション高かったです。・・・「今に見てろよ」って感じ。
その一方で、検討結果(8館構想)がまとまる前の時期でも、起こせるアクションは起こしていました。
例えば、検討作業のなかでは、業務を大幅に効率化するために欠かせないものとして、かなり早い段階から「ICタグの導入」が必須だとの認識に至っていました(図書館の本に貼ってある「バーコード」に替わる、新しい管理システムだと思っていただければ結構です。)。・・・実は、「ICタグの導入」が検討されたのは今回が初めてでなく、かなり昔から何度か議論されたことがありました。したがって、今回の図書館の見直しがどんな結末になろうとも「導入してムダになることはない」というのはわかっていました。そんな背景もあり、たまたま国の交付金(総務省「住民生活に光をそそぐ交付金」)の申請チャンスがあったので、逃さないよう手をあげたのが2010年12月末。まだ職員チームの検討作業の最中のことでした。
「検討作業」というのは、単に書類をまとめる作業ではなく、市役所内の多数の職員が参加した(巻き込まれた?)議論そのものだったので、途中でもアンテナはってましたし、そんなアクションができたのでした。・・・なお、この交付金、結果として予想以上の額が交付されたので、非常にありがたかったです。
さて、職員チームによる「箕面市図書館8館構想(たたき台)」が2011年3月にまとまったわけですが、相変わらず「図書館に手をつけると痛い目にあいそう」というタブー意識は強く、この時点でも担当部が「こんな大胆な見直し案を公表して大丈夫だろうか?」と迷うシーンなどもありました。
こんなときは僕の役割。・・・「たぶんもめるでしょうけど、気にせずどんどんもめてください。」「メリットも大きいプラン。理解してくれる人は絶対にいる。」と呪文のように繰り返して、公表と議論を促していきました。
そうしたら・・・やっぱりもめました。
(長いので続く・・・狼少年のようですが次こそホントに最終回!)
そして、10年以上にわたり図書館運営の見直しを阻んできた要因は「(1)図書館に手をつけると痛い目にあいそう」「(2)図書館業務のブラックボックス化」の2点。
(1)の解決はシンプルです。僕が覚悟を決めて腹をくくって、ブレないこと。
したがって、ここからは(2)が主戦場。この先は本当に職員“大活躍”の領域でした。
どんな議論をするにせよ、口でああだこうだ論評してるだけでは前に進みません。現実を前に進めるためには、なにか具体的な“たたき台”や“モデル”を提示しなければ始まらない。
小野原の公共施設が「ヤマにあがった」2010年10月。改めて、僕は何人かの職員と一緒に全図書館をウロウロ歩きまわったうえで「こうしたらいいんじゃないの?」という仮説を立てて、ひとまず職員チームに“たたき台”をつくるよう検討指示をしました。
発想のスタートは、箕面市の図書館のいくつかは比較的“小ぶり”であるということ。例えば、都心部の「中央図書館」と呼ばれるような大きな施設の運営と、同じ運営(業務の分担や人員配置)を、仮に規模の大小にかかわらずやっているとしたら、小さい図書館であればあるほど非効率になる(=業務は少なくても人員を配置しなければならないから)のは当然。・・・箕面市の図書館運営が過去にほとんど見直されたことがないことを考えると、このあたりは怪しいんじゃないか?というのが一つの仮説。
また、同様の発想からくるのですが、箕面市の特徴である「図書館の数の多さ」を考えると、「どこでやってもいい仕事をそれぞれバラバラにこなしてないか?」「集約化できるものがあるのではないか?」というのも一つの仮説。
ざっくり言えば、箕面市の図書館は「それぞれ独立・完結してて、バラバラに動いているんじゃないか?」「全体で一つの図書館として、互いに仕事を融通しあいながら動いた方が効率的・効果的なのでは?」という仮説を立てて、職員チームは検討に入りました。
ここからの職員チームは本当に獅子奮迅でした。
一部は図書館の職員も参加してましたが、大半は図書館経験のない職員が多かったので、まずは図書館業務の解明からはじめなきゃいけません。なかには、休日にストップウォッチを持って図書館を見に行き、丸一日、カウンターや人の動きを計測しながら業務量を紐解いていったりしてくれた職員も。
・・・こうした動きには、過去の箕面市の事務改善活動の経験が活きています。例えば、箕面市では過去にコクヨビジネスサービス(株)の協力を得て、分単位で業務を計測・解析して再構築する見直し作業もしたことがあるのですが、そうした積み上げ手法などの経験が、今回の図書館運営の見直しの随所に活かされました。
それと、「図書館運営の見直し」は、決して削減だけの話ではありません。
今の時代にそぐわない非効率な部分を改め、そこから捻出されるリソースを強化すべき部分に投入する。これこそ「見直し」です。・・・その一つが(できれば)図書館の新設でもあるわけですが、他にももっともっとあります。
例えば、職員チームの検討作業のなかででてきた話。箕面市の図書館全体の予算(3.9億円)を見渡してみると、その約70%(2.7億円)が人件費なのに対して、実は、書籍の購入に充てられている費用は7%余り(0.3億円)に過ぎないのです。図書館の議論をすると必ず「人(司書)」が大切という声があがります。それを否定する気はありませんが、図書館である以上、それよりなによりまずは「本」だと(僕も)思います。
業務の効率化によって財源が捻出されるなら、むしろ今は絞られている「本」に財源を投入すべきでは?・・・職員チームの検討作業からは「毎年の書籍購入費を2倍に」という提案が出てきました。この他にも、「インターネット接続環境の整備」として「公衆無線LANの整備」「iPad・ネットブックなどの館内貸出」といった項目もあがってきました。
もちろん逼迫する箕面市財政に貢献してもらうことは必要ですが、すべての削減努力を図書館から召し上げるのは本意ではありません。まさしく今の時代にあった「図書館運営の見直し」を進めてくれた職員チームでした。
その検討結果が「箕面市図書館8館構想(たたき台)」。
まとまったのは2011年3月のことでした。ちなみに、検討を開始した2010年10月から、ひとまずの検討結果「箕面市図書館8館構想(たたき台)」がまとまる2011年3月までの間。この期間は・・・なんというか、正直、歯がゆかったです。
例えば、この検討結果(8館構想)がまとまる前の2010年12月の箕面市議会(文教常任委員会)。
単に「小野原が図書館を求めてるんだから図書館を増やせ」という安直な主張を繰り返す(一部の)議員がいましたが、ある程度の見通しをつかめない状態では無責任なことは言えないので、こちらとしては「“今のままの図書館運営を前提にするなら”増設は不可能」「悩んでます」くらいの答えが限界。
そうすると、(当たり前ですけど)なんか後ろ向きな姿勢に受け取られて、余計に「市長はわかってない」とかなるわけです。・・・いや、わかってないのはあんたの方だ。議員なんだから、「今のままじゃ無理」=「今のままじゃなければ可能性がある」って言葉のウラくらい読み取れよ!・・・などと口にできるわけもなく。
前回・前々回も書いてきたとおり、かなりの覚悟&決意で実現可能性を探ってたわけですから、なおさら歯がゆくフラストレーション高かったです。・・・「今に見てろよ」って感じ。
その一方で、検討結果(8館構想)がまとまる前の時期でも、起こせるアクションは起こしていました。
例えば、検討作業のなかでは、業務を大幅に効率化するために欠かせないものとして、かなり早い段階から「ICタグの導入」が必須だとの認識に至っていました(図書館の本に貼ってある「バーコード」に替わる、新しい管理システムだと思っていただければ結構です。)。・・・実は、「ICタグの導入」が検討されたのは今回が初めてでなく、かなり昔から何度か議論されたことがありました。したがって、今回の図書館の見直しがどんな結末になろうとも「導入してムダになることはない」というのはわかっていました。そんな背景もあり、たまたま国の交付金(総務省「住民生活に光をそそぐ交付金」)の申請チャンスがあったので、逃さないよう手をあげたのが2010年12月末。まだ職員チームの検討作業の最中のことでした。
「検討作業」というのは、単に書類をまとめる作業ではなく、市役所内の多数の職員が参加した(巻き込まれた?)議論そのものだったので、途中でもアンテナはってましたし、そんなアクションができたのでした。・・・なお、この交付金、結果として予想以上の額が交付されたので、非常にありがたかったです。
さて、職員チームによる「箕面市図書館8館構想(たたき台)」が2011年3月にまとまったわけですが、相変わらず「図書館に手をつけると痛い目にあいそう」というタブー意識は強く、この時点でも担当部が「こんな大胆な見直し案を公表して大丈夫だろうか?」と迷うシーンなどもありました。
こんなときは僕の役割。・・・「たぶんもめるでしょうけど、気にせずどんどんもめてください。」「メリットも大きいプラン。理解してくれる人は絶対にいる。」と呪文のように繰り返して、公表と議論を促していきました。
そうしたら・・・やっぱりもめました。
(長いので続く・・・狼少年のようですが次こそホントに最終回!)
posted by 倉田哲郎 at 23:54
| TrackBack(0)
| 活動日誌
2011年10月05日
中学校の運動会写真集2011
こないだの週末は、箕面市立の7つの中学校で一斉に運動会。
小学校の運動会に引き続いて、すばらしい気候のもと最高のコンディションでした。
無謀にも50メートル走でて中学生に負けました・・・。
一緒に走ったPTAさんともども中学生に完敗でした。さすが中3。
子どもたちはもちろん、学校・地域・保護者の皆さん、おつかれさまでした!
せっかく撮ったので運動会写真集です。
箕面の子どもたち、元気です!
ところで、今年4月に開校した小中一貫校「彩都の丘学園」でのワンシーン(↓)。
1・2年生を引率してるのは、先生じゃなくて9年生(中学3年生)です!
小学校の運動会に引き続いて、すばらしい気候のもと最高のコンディションでした。
無謀にも50メートル走でて中学生に負けました・・・。
一緒に走ったPTAさんともども中学生に完敗でした。さすが中3。
子どもたちはもちろん、学校・地域・保護者の皆さん、おつかれさまでした!
せっかく撮ったので運動会写真集です。
箕面の子どもたち、元気です!
ところで、今年4月に開校した小中一貫校「彩都の丘学園」でのワンシーン(↓)。
1・2年生を引率してるのは、先生じゃなくて9年生(中学3年生)です!
posted by 倉田哲郎 at 17:24
| TrackBack(0)
| 活動日誌
- プロフィール
-
名前:倉田哲郎
誕生日:昭和49年(1974年)6月7日
ブログ:http://blog.kurata.tv/
一言:箕面市長(2008〜2020年)の倉田哲郎です。
大阪府箕面市で地方自治を全力でドライブ。
・プロフィールなど倉田哲郎WebSite
・倉田哲郎 on Twitter
・Twitter過去ログ
- 記事検索 & QRコード
-
QRコード(携帯で読めます)
http://kurata.info/
(倉田哲郎 Web Site)
- 最近の記事
-
07/01 引退表明07/21 箕面市長選挙にむけて(その2)07/21 箕面市長選挙にむけて(その1)03/25 箕面市の新年度(H28)予算03/11 東日本大震災から5年01/03 消防出初式201608/02 消防訓練大会〜消防団・上止々呂美分団の勇姿07/26 箕面まつり201502/25 箕面市の新年度(H27)予算案02/05 ニュージーランド・ハット市を訪問01/12 華やかに成人祭201501/03 消防出初式201508/31 箕面大瀧〜8年前の風評被害07/28 箕面まつり&キャンドルロード201406/25 箕面市役所の公務員制度改革03/31 決着〜北大阪急行線の延伸の事業化合意03/27 箕面市の新年度(H26)予算02/12 北大阪急行線の延伸〜2020年度の開業にむけて
- 最近のトラックバック
-
未来の話をしよう。〜原発とか政治の役割とか by 黒木町日記(12/21)
箕面都市開発株式会社のこと by 西宮市議会議員 しぶや祐介の活動日記(10/29)
乗れば乗るほど便利になる“オレンジゆずるバス”! by おさかなバス資料館 blog ver.(09/07)
続・「大阪“都”構想」をどう思う?〜大阪市長平松邦夫さま by 堺市の賃貸不動産屋で働く、営業マンの日記(06/24)
箕面市「営業課」 by 宇和島研究(04/06)
“関西3空港問題”と“北大阪急行の延伸”と? by 雑感日記(02/13)
今日から「みのお市民ツリー」〜50メートルの巨大ツリー by ゴリモンな日々(12/24)
地方分権の一つの姿〜2市2町の広域連携 by 雑感日記(12/19)
食堂っ!やりました! by さるとる ファイト! 三木市が大好き!!(12/06)
いろいろ募集 by 宇和島研究(10/25)
Linuxで大量の中古PCを再利用にトライ! by welcome to kumamo.to(10/16)
Linuxで大量の中古PCを再利用にトライ! by Buchikoのブログでし。(10/16)
「箕面」を伝えるために by 何か楽しいこと創る社長のウェブログ(gooブログ)(08/07)
箕面森町“親子体操教室&子育て交流会” by 森のひょうたん♪箕面森町(みのおしんまち)(06/13)
トンネル料金の“値下げ”トライアル by sunny's つれづれ日記(05/06)
ブチョーブログ by 森のひょうたん♪箕面森町(みのおしんまち)(04/05)
箕面の小中学校課外授業への塾講師派遣 by 雑感日記(01/14)
行財政改革“ゼロ試案”の公表 by さるとる ファイト!(12/16)
学校の授業風景と“夜スペ”藤原先生の来訪 by Starlight/旅行記を写真と文章で綴るブログ(11/13)
ブログのチカラ by 雑感日記(10/16)
- 過去ログ
-
2020年07月(1)
2016年07月(2)
2016年03月(2)
2016年01月(1)
2015年08月(1)
2015年07月(1)
2015年02月(3)
2015年01月(2)
2014年08月(1)
2014年07月(1)
2014年06月(2)
2014年03月(2)
2014年02月(1)
2014年01月(1)
2013年12月(3)
2013年08月(1)
2013年06月(1)
2013年03月(1)
2013年02月(1)
2013年01月(2)
2012年12月(1)
2012年10月(2)
2012年09月(2)
2012年08月(3)
2012年07月(1)
2012年06月(1)
2012年03月(1)
2012年01月(1)
2011年12月(2)
2011年11月(1)
2011年10月(4)
2011年09月(5)
2011年08月(1)
2011年03月(1)
2011年01月(1)
2010年12月(1)
2010年11月(1)
2010年10月(4)
2010年09月(2)
2010年08月(4)
2010年07月(2)
2010年06月(3)
2010年05月(4)
2010年04月(7)
2010年03月(4)
2010年02月(5)
2010年01月(6)
2009年12月(7)
2009年11月(9)
2009年10月(12)
2009年09月(9)
2009年08月(12)
2009年07月(13)
2009年06月(12)
2009年05月(11)
2009年04月(9)
2009年03月(10)
2009年02月(6)
2009年01月(8)
2008年12月(9)
2008年11月(10)
2008年10月(14)
2008年09月(15)
2008年08月(9)
2008年07月(5)
2008年06月(5)
2008年05月(9)
2008年04月(13)
2008年03月(6)