これは大阪府の進める塾講師派遣計画の“第一号”で、今日は「家庭教師のトライ」(家庭教師派遣企業の大手)の講師が、西小学校の生徒に国語(漢字)と英語(英単語)を教えました。
・・・と、ここまでが、おおかたの新聞記事・テレビの報道。
そのとおりですが、そうそう一朝一夕にできるものではありません。
直接的な話としては、橋下知事の要請で大阪府特別顧問となっている藤原和博先生(「よのなか科」「夜スペ」で有名)と、昨年11月頃にお会いしたのですが、その際、「箕面の教育力をさらに向上させる“なにか”をしましょう」と話が盛り上がったことがキッカケ。
さらに、ここだけの話ですが、そのとき同席していた箕面の(当時の)教育推進部長が、実は、今の西小学校の校長先生を勤めてくださっています。
もちろん、そんなキッカケはありましたが、やはりそれでも一朝一夕にできるものでもありません。
実は、7年前から、箕面の西小学校では、週5日制になったことをキッカケとして、土曜日の子どもたちの居場所づくりのために、地域の方々が中心となってNSS(西小サタデースクール)を開講し、ずっと継続されてきました。全校800人を超える生徒のうち、およそ半数近くが参加しています。
今回の塾講師派遣は、もともとNSS(西小サタデースクール)の7年間の積み重ねとたくさんの講座があったからこそ、その“追加の講座”として受け入れられ、実現したものです。
そして今日も、クローズアップされた“塾講師による国語(漢字)・英語(英単語)”だけでなく、学校中の教室で、陶芸・和楽器・パソコン・生け花・茶道・将棋・読書・絵画・立体切絵・卓球・手芸・工作・・・などなど、たくさんの講座が開かれ、教える地域の方々も子どもたちも一緒に盛り上がっていました。
塾講師の派遣という新たな取組みもさることながら、箕面の教育力は、地域の方々の努力があってこそ支えられ続けている。それを証明するかのような子どもたちの姿でした。新たな取組みというのは、こうした積み重ねゆえにあることも、ぜひ、いろんな方に知っていただきたいと思います。
さて、・・・ちなみにですが、(よく聞かれるので)塾講師の派遣について個人的にどう考えているかだけ書いておきます。
まず一つ。
僕自身は、学校と塾と両方にお世話になって育ちました。“お世話になった”というのは、形式的に言っているわけではなく、学校にも大好きな先生はいましたし、塾にも大好きな先生がいて、どちにも教わったと。その体験からすると、よく学校と塾は比較されがちですが、それぞれ役割もノウハウも違うものをもっていると肌で感じてます。
なお、あくまで総論的に言えばですが、いわゆる“勉強”の色合いが濃いので、学校よりも塾のほうが、あまり行きたくはない場所でした・・・って子どもにしてみれば当たり前ですかね。学校のほうが好きでした。
でも、そんなあまり行きたくない場所にもかかわらず、子どもを惹きつける先生がいるというのは、やはり塾の特異なノウハウがあるんだろうなと(オトナになった今では)考えさせられます。
いずれにせよ、子どもたち一人一人にとっては、“必ずこのやり方がベスト!”と決まるものではなく、なにが最良かは子どもそれぞれです。だから、いろんな立場・ノウハウの人が、いろんな教え方で子どもたちに接してみるというのは、子どもたちの可能性を広げる上で素直に良いことと思います。
役割もノウハウも異なる学校文化と塾文化が、地域を通じて一緒に活動することは喜ばしいこと。今回の取組みが軌道にのることを期待しています。
もう一つ。
今回、大阪府の塾講師派遣計画の“第一号”として、めでたく箕面が選ばれましたが、こうした取組みは“第一号”をとるべきだと思っています。
「よその地域での実施結果を見て、それから手を出す」という考え方もあるかもしれませんが(・・・多くの自治体の場合、そういうことが多いのですが)、個人的にはちょっと違います。箕面市単独のことなら話は別ですが、今回の大阪府のように関係者が多い事業の場合、誰にとっても“第一号”は失敗しては困るので、関わる人たちの本気度が極めて高いと思うからです。
実際、今日の「家庭教師のトライ」の講座はおもしろかったです。
内心、“気合入れて、それなりの人材を投入してくれたんだろうなぁ(喜)”と思いながら見ていました。これが箕面でのスタンダードになりますから、万が一、クオリティが落ちたら周囲はすぐ気づきます(笑)。
そんな意味でも、“第一号”はおトクでありがたいこと。今回、“第一号”としてのスタートにこぎつけた関係者の努力に心から感謝です。