あえて書く必要があるかどうか迷いましたが、財政課題と関連してよくいただく質問ですので触れておこうと思います。「大規模開発」(特に「まとまった面積の“市街地”開発」のことですが)の議論が、まことしやかに箕面市の財政論と重ねて語られることがありますが、これは明らかに間違いです。
例えば、箕面森町・彩都は、箕面市が行っているものではないので、まず、(1)開発失敗にかかる財政リスクは箕面市にはまったく無縁、(2)開発後の住民へのサービス費用は山林・田畑が市街化したことによる税収アップでお釣りがくる、というのが実際。したがって、“財政”だけについて言えば、過去にも未来にも箕面市へのマイナス影響はありません。
唯一、箕面市が開発主体となった萱野中央(visola)については、仮に失敗していたら財政リスクはあったと思いますが、完了した今、結果としては、実績として年間4億円の税収アップ効果が出ており、箕面市財政にはプラスとなりました。成功裏に終わった今、visolaへの借地契約もありますので箕面市の安定収入となっています。
・・・だからといって開発が良いと言いたいわけでも、良いと言ってるわけでもありません。
まとまったエリアの市街地開発(大規模開発)は、自然環境との関係、宅地の需要見通しの是非、小さな乱開発発生の可能性といった、まさに“まちづくり”の観点から是非が議論されるべきもの。ここでは、「無関係な箕面市の“財政課題”まで、さも関係ありそうに混同されて論じられること」は誤りだと言っているだけです。
他者が行う大規模開発に至っては、箕面市の“財政論の「損得」だけ”で言うなら“大幅にプラス”です(良い悪いは別として)。新たな住民の方々への行政サービスを提供するためのコストは発生しますが、課税額の極めて小さい山林・田畑だったところが市街化することによる税収増の方がはるかに大きいからです。
このことを冷静に考えれば、ときにまことしやかに語られる「大規模開発が箕面市の財政悪化の原因」「大規模開発を止めれば箕面市の財政課題も解決する」といったことが夢物語であるというのは、ご理解いただけるのでは・・・と思います。
箕面市の財政課題は、あくまで経常赤字・・・つまり、ランニング・コスト部分の赤字です。
経常赤字の要因は、(しいて言うなら)競艇事業の隆盛など、今より豊かな収益があった時代に、いろんな分野でサービス水準をあげてきたことによるもの。サービス水準を少しずつ落とすか、他の恒常的な収益を確保するか、この2つしか解決策がありません。
大規模開発を止めれば・・・といった一発解決の方策があればいいのですが、残念ながら経常赤字にはなんの改善もみられません。地道に、一つ一つ、行政活動を見直していくことしか財政課題の解決策はありません。この点、ぜひとも市民の皆さんにご理解とご協力をいただきたく、重ねてお願い申し上げる次第です。
さて、「大規模開発」について、こんな書き方をしていると、「アイツは開発推進派だ」などと、すぐにレッテルを貼ろうとする人がいますが(・・・いるんですよ)、以前も書きましたが、開発行為に対しては、財政論とは別問題なので、違うアプローチで対抗策をとる準備をしています。
すなわち、山のすぐ手前のエリアの新たな開発ルール(規制)の策定。この件については、来年春のスタートを目指して、都市計画審議会・都市景観審議会で6月から正式に検討中です。せっかく、新御堂筋突き当りの老人ホーム計画や、新稲の墓地開発計画を中止に導いたこのタイミングです。豊かな山並みを守るべく、しっかり活かしていきたいと思います。
箕面の緑を守る、箕面の山を守る。財政課題の解決だけでなく、こちらへのご支援&ご理解もいただければ大変ありがたいです。お願いごとばかり書いているようですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
