毎年、毎年、「実現可能性を検討する」などと称して数百万円の調査費を予算化し、延々と「検討会」なるものを繰り返す。そんな当時の北急延伸の取り組みは、(少なくとも表面的には)まさしく僕の嫌う惰性そのもの。
担当者は真面目に細かい調査をこなしているので、無駄だとは言いませんが、これではいくら調査を繰り返しても、現実は前にも後ろにも進まない。
そこで、行財政改革の担当として、前述の判断要素3つのうち根底の一つ、まず「(A)市民の意向はどうか?」をホンキで調べるよう強く求めました。その際、多額の費用がかかり財政負担が発生することを示すことを必須条件として・・・そう、それでも市民がこの計画にOKを出すのか、結果次第では長きにわたる延伸構想に引導をわたすことも視野に入れての一手でした。
この意向調査の実現をみることなく、平成18年1月に僕の箕面市役所への出向期間が終わり、僕は総務省に戻りました。・・・でも、平成18年度に最新の概算建設費の試算が完了した後、箕面市役所は、平成19年度に(僕の求めていた)意向調査を実施してくれました。アンケート調査として実施されたのは平成19年10月、集計結果がまとまったのが平成20年1月。
ちなみに僕が箕面市長選挙に出る覚悟を決めたのは、そのすぐ後の平成20年3月頃。マニフェストの作成や自分の箕面市政へのスタンスを定めていく上で、このアンケート調査結果は大きな判断材料となりました。・・・市役所の職員だったときには、こんな形で自分に跳ね返ってくるとは夢にも思っていませんでしたが。(出馬した頃に「我ながら真面目に仕事しててよかった」と思ったことの一つ(笑)だったりします。)

無作為抽出のアンケート調査で2000件を発送、回答数が1226件。
全体結果は「延伸させるべき:62.5%、延伸すべきでない:20.4%」。地域によってバラつきはあるものの、すでに阪急箕面線があり、賛成の最も少ない西部地域でも「延伸させるべき:53.2%、延伸すべきでない:24.4%」と、過半数が賛成し、反対はその半分以下。
多額の建設費用がかかることがちゃんと明示されていなかったのでは?と、一瞬疑いましたが、反対した20.4%の回答者の1/3(37.2%)が「市が多額の負担をしてまで延伸する必要はない」と回答理由を答えているのを見ると、ちゃんと建設費用が示された上でアンケート結果が出ていることがわかります。
実際、アンケートに同封された計画概要という一枚モノの資料には、けっこうなスペースに「どれくらいお金がかかるの?」という項目が割かれ、大きな金額がわかりやすく示されています。
前述した3つの判断要素の一つ「(A)市民の意向はどうか?」。・・・どうやら箕面市民の多くは鉄道延伸に賛同している(少なくとも反対はしていない)。
これがわかったことで、僕のスタンスの方向性は定まりました。・・・マニフェストには「北大阪急行線の延伸に向けた具体的な交渉を進めます。」と書きました。なにせ当時はまだ「交渉」といえるレベルではありませんでしたから。
(北急延伸その3“鉄道延伸のメリットは?”に・・・つづく)