
白くて丸っこくて青い線の入った、どこの会社にもありそうな、なんの変哲もない陶磁器の湯のみ茶碗でした。一見、ヘタすると100円ショップでも売ってそうな・・・。ところが、口に近づけるときによく見ると、なんとフチのところに(線と同じ焼き模様の青色で)あの「SONY」のロゴが!!!
「え?茶碗までソニー製なんですか?」と聞くと、「いえ、もちろんソニー製品じゃありませんが(笑)、うちの社員は“SONY”のロゴが大好きなヤツばかりなもんで(笑)。」
・・・ああ、ソニーの強さってここにあるんだ。
嬉しそうに、かつ、自信をもって語る部長さんの、ちょっと照れくさそうな笑顔にそう感じたこと、今でも強く印象に残っています。
企業の社員のアイデンティティと、地域のアイデンティティが一緒とは思いません。でも、「好き」というのはすべての原動力なんだと感じます。僕は、市民の皆さんにも、もっと箕面のことを再認識して、もっと好きになってもらいたい。そう思います。
そのなかの小さな一つとして「箕面」っていうせっかくの個性的な文字も、もっと大事にしたいなぁと思ったりするのです。

読めない人は、なにかの文中で「箕面」って目にしたとき、心の中で「なんて読むんだろう」と小さくともひっかかりを覚えます。恥ずかしくて声には出さずとも、頭の中で「キメン」「ミノモ」「ミノメン」とか、テキトーに音をあてはめて文章を読みます。
でも、僕は、正しく読めちゃって気にも留められずに読み流されるよりも、小さなひっかかりだけでも印象に残ったほうが良いと思うのです。心の中で「読めねーよ」って小さくツッコミまで入れてくれたら、それこそトクだと思うのです。
いつか、その人がTVで耳にしたり、フリガナつきの文章を見たときに、「ああ“ミノオ”って読むんだ」って思ってくれたら、通算2回、頭の中でひっかかるわけです。読めちゃってなんのひっかかりも印象にも残らず素通りしちゃう地名よりも、僕ははるかに良いと思うのです。
しかも「箕面」ですよ「箕面」。特に「箕」の字。なんかちょっとしたゴツゴツ感と凛とした古風さとが混ざったデザインの文字。人によっては書けなくとも、カタチの印象は頭に残る個性的な文字。いいじゃないですか!

だから安易に「みのお」とかヒラガナ表記にしなくていいのに・・・っていつも思います。どうしても音読できなきゃいけない場面で使うときは「漢字+フリガナ」でって思います。
全国の人が「箕面」を読めるようになる。僕の夢の(小さな)一つでもあるんですが、そのためには、ヒラガナで書けば済むってものではありません。没個性なヒラガナは逆効果。むしろ漢字「箕面」のチカラにこだって積極的に活かさないと。
ぜひ、皆さんも「これなんて読むの?」って言われたときは、“知名度が低い・・・”とか寂しがらないでください。だって、わざわざ相手から「箕面」のことを話題にする機会を作ってくれたわけですよ!ここぞとばかりに箕面のことをバシバシ自慢してほしいと思います。
そんなこともできる全国に一つしかない個性的な「箕面」の文字を背負うことに、僕は限りない喜びとアイデンティティを感じるのです。