土砂が崩れた場所や、一部地域では水路がかなり溢れていたので、物的損害は大小多数ありました。ただ、消防団員1名の活動中の負傷(土嚢作業中の軽症)を除くと、人身にかかる直接的な被害がなかったことだけが、せめてもの救いでした。
今回、初めて「避難指示」「避難準備情報(自主避難の推奨)」を発令しましたが、避難にご協力いただいた皆さんが、夜の避難から早朝の帰宅まで、一貫して落ち着いて秩序だった行動を、そして互いを気遣う行動をとってくださったことが本当に印象的でした。心から感謝しています。
これまで、市役所で災害時の机上シミュレーションはしてきましたが、なにせ初めての実践。訓練の成果があった部分ももちろんありましたが、大小たくさんの反省点もありました。(あってほしくはないですが)万が一、次があった場合に、この経験がつなげられるよう、さらに対策と準備を進めていきます。
まだ一部地域では復旧中の箇所もあり、平常時に戻れていない住民のかたもいらっしゃいますが、市も一緒に復旧に取り組みますので、どうぞ引き続きのご協力よろしくお願い申し上げます。
ところで、集中豪雨からしばらくの間、増水や被害のため箕面大瀧へ続く滝道が通行止めになっています。
(→ 追記 : 一部迂回路などもありますが滝まで行けるようになりました。詳しくはコチラ。)一部、無視して入った人などもいたらしく、ネットに複数の写真があがっていましたが、本当に危ないので止めてください。ご本人が危ないのももちろんですが、万が一にも事故になったら、その救助活動でたくさんの人の命を危険に晒すことになります。
箕面大瀧のすぐ近くに立つ石碑は、かつての集中豪雨で滝近くの人を救おうとして殉職された箕面警察署長(合田百一さん)の記念碑です。また、水害の救助活動中に箕面市消防団員が殉職されたこともあります。災害で人が亡くなること、救助で人が亡くなることは、決してテレビで見る遠い場所の話ばかりでなく、すぐ身近で起こります。
通行止めを無視するのは、おそらく一瞬の興味本位ゆえと思いますが、自己責任で済む話ではまったくありませんので、どうか強く自重いただきますようお願いいたします。さて、話はちょっと逸れますが、今回の集中豪雨による箕面大瀧の増水にともなって、改めて「マスメディアの影響力とは凄まじいもの」と“妙な”再認識をさせられたことが一件。
それは「滝はポンプを止めれば大丈夫じゃないんですか?」という問い合わせです。
・・・はぁ。これはおそらく「箕面大瀧は“ポンプで水を汲み上げてる人工の滝”」という風評を信じてのもの。
テレビで大誤報されてから8年も経ってるんですが、まだ消えません。思わず溜め息が出ます。
この風評の起こりは2006年のテレビ報道でした。
ある日、新聞のテレビ欄に「景勝地に衝撃の事実…箕面の滝は人工滝?」との見出しが踊り、「トンネル工事で大量の水が湧き出し、周辺の川が枯れた」「滝壺に流れ落ちる大量の水は、なんとポンプで吸い上げたもの」「箕面の滝は自然の滝ではなく、人工の滝」と報じられたのが起こり。番組には“大阪府議会議員”や“箕面市議会議員”なる人たちが出演し、この「ネタ」に喜々として太鼓判を押したのがダメ押しになりました。・・・はい、これで風評確定です。
テレビ画面には「大阪府議会議員」「箕面市議会議員」という肩書きしか映らず、さも既定の事実の如く「本当は人工の滝だ」と語ったわけですが、出演した彼らが一人残らずすべて共産党の議員で、半年後に開通するトンネル工事への反対&批判のために手段を選ばない人たちで、日頃から客観的根拠のない主張ばかり繰り返していたことを、視聴者が知るすべは一切ありませんでした。
このテレビ局は、その後も同じ内容を繰り返し流し、やがては他のテレビ局も便乗してとりあげ、さらには一部の新聞までこのネタに乗じました。
事実関係とデータはコチラにもまとめてありますが、トンネルを掘ったら、当然、水が染み出てくるわけで、その水は、水脈を崩さないためにトンネルの直上付近に放流して戻すのが、全国どこでも同じセオリー。
箕面グリーンロードトンネルで染み出した水を集めて放流しているポイントは、たしかに箕面大瀧の上流にはあたるのですが、上流すぎるくらいの上流です。
箕面大瀧から約2キロ遡ったところに「箕面川ダム」があり、(かつての水害の教訓から)水量調整が行われているのですが、この水量調整が行われているダムから、さらに上流へ1.4キロ遡ったところにある支流の一つがトンネル水の放流ポイント。
ここで放流されている水量の規模は、流域全体からすればごく僅かで、もちろん周辺の河川が枯れた事実もありません。そして、この支流だけでなく、たくさんの支流が集まって合流しながら3.4キロ下流の箕面大瀧が形成されていくので、トンネル水の放流を止めると川が枯れるとか、箕面大瀧が止まるとか、笑ってしまうぐらい絶対にありえません。実際にデータを見ても、箕面大瀧からダムを隔てたさらに上流の支流で、放流水量は毎秒0.018立米なので、すべてはダムの調整機能(毎秒0.08〜0.14立米の水量を常時放流するよう流量をコントロールして生態系を保護)に吸収されてしまっているのが現実。
・・・この程度のことは、ちょっと取材して調べればすぐ確認できること。
そんなことも検証せずに共産党の口車だけにのったというなら、メディアとしてあまりに情けなすぎるし、調べて知ってたけど視聴率をとりにいったというなら、そこには悪意しか感じません。
「電気仕掛け」だの「人工の滝」だの、あたかも滝壺から水を汲み上げてるような誤解を与え、ポンプを止めたら滝が止まるとか、おもしろおかしく騒いだ複数のテレビ局。マスメディアの悪ノリは、度が過ぎてたとしか言いようがありません。
そして、喜々として騒ぎに火をつけてまわった共産党の府議・市議は、さらにタチが悪い。自らこの街のイメージを傷つけておいて、よく今でも平気で箕面の街を歩いているものだと、その厚顔無恥さには驚きを通りこして感動すらおぼえます。・・・はい、この人たち、今でもその辺を歩いてますよ。
箕面大瀧の水量は、その年に降り注いた雨水の量など、有史以来かわらぬ天の恵みに左右されています。その圧倒的な自然の力の前では、ダムをもってしても小さな抵抗に過ぎない事実は、これらの写真を見れば一目瞭然。
もう8年も前の昔話とはいえ、8年たった今でも前述のとおり風評は消えてないわけですから、やはりマスメディアの影響力とは凄まじいもの。
「あるある大辞典」(納豆騒動っておぼえてますか?)をきっかけに、テレビの放送倫理が社会問題となったのは、これより後のこと。その後、BPO(放送倫理・番組向上機構)に「放送倫理検証委員会」が設置されたりもしたので、当時よりはテレビ局の体質が改善されていることを願っていますが、ぜひメディアに携わる方々には、常に自らの力を戒めながら仕事をしていただきたいものです。
先般は某新聞社が国家的誤報を訂正して話題になりましたが、うちも、どこかの局で「箕面大瀧は天然由来成分100%でした」って訂正特集をしてくれたりしませんかね。
・・・謝罪なしでも怒りませんから。